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ブラックバードミュージック

Author:ブラックバードミュージック
ブラックバードミュージックは、等身大のアイルランド音楽の魅力を本国直送で日本へ紹介することを目的としたプロジェクトです。
名古屋のフィドル奏者小松 大と、在アイルランドの望月えりかが共同で運営しています。

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アイルランド音楽に伴奏は要らない?

2014.06.18 14:12|アイルランド音楽豆知識
先日、ごく親しい友人らとアイルランド音楽の話に興じ、「アイルランド音楽における伴奏の是非」という話題で盛り上がりました。

友人の一人はアメリカ人のフィドル奏者です。
アメリカの小さな町でフィドルを中心にアイルランド音楽を教えるクラスを運営し、アイルランドから来るミュージシャンたちを迎えてのコンサートなどの企画も行う彼女は、長きに渡りアイルランド音楽を見つめてきた人物であり、幅広くアイルランド音楽を聴き込んでいる、まさにアイルランド音楽に人生を捧げる人物です。

そんな彼女が「最近、伴奏なしの、メロディー楽器だけでの演奏が面白くて仕方がない」と言います。

それと同時に、「伴奏が入ると、メロディー楽器奏者としての表現力の範囲が狭められる気がする」とも言います。

パットもすかさず「よく分かるよ。伴奏者がいると窮屈というか、その音楽の形が固定されてくるよね。伴奏者がその音楽のムードを勝手に作ってしまうと、こちら(メロディー楽器奏者)の意図してない方向に行ってしまったりしてね」

「そうなの。伴奏者がいないだけで、こんなに自由に弾くことができるんだ!っていうことが、今はとても楽しくて、もっと突き詰めていきたいなと思っているのよ」

彼女の夫はブズーキ奏者で、それもかなりの腕の持ち主なのですから、彼女の話には説得力があります。

続けて、「アメリカでは、アイルランド音楽には伴奏がなくてはならない、と思い込んでいる人たちが多い」とも言います。

確かに、アイルランド音楽に伴奏を初めてつけたのは何を隠そう、アメリカでした。
マイケル・コールマン(Michael Coleman)やジェイムス・モリソン(James Morrison)といったアメリカにおけるアイルランド移民の音楽家たちのレコーディングにともない、「メロディーだけでは何かが欠ける。伴奏を入れたらいいのでは」と思いついたのは、当の音楽家たちではなく製作者側、つまりアメリカのレコード会社の人間たちでした。

ピアノ、ギターに始まったこの「伴奏者」という新参者の存在は、時が経つにつれて肥大し、アイルランド音楽史のバンドブームと一体化してからは、市民権を得るかのごとく普及しました。
今やアイルランドのパブにおけるセッションでも、こうした伴奏者の姿を見かけるのは当たり前のこととなりました。

「それがね、フィドル奏者のアントン・マクガウアン(Antóin Mac Gabhann)のワークショップを受けた時に、アドバイスされたのがきっかけだったの。『伴奏なしでしばらく演奏してみなさい。そうすれば、フィドル奏者として違ったアプローチができるようになるはずだから』ってね」

「結局、アイルランド音楽はメロディーが主体の音楽で、メロディー楽器でフレージング、イントネーションやリズムなどすべてが表現される音楽。そこに伴奏者が何か加えられるとしたら、奏でられるメロディーを理解した上でそれを後押ししたり、メロディーの持つリズムの力をサポートしたりとか、それぐらいではないか」(パット)

どれだけ伴奏に頼ったアイルランド音楽を演奏するか。このような伴奏楽器にかかる比重は、今やさまざまに変化しているようです。
ケーリーバンドのようなダンサーを躍らせることを専門としたバンドには、ほとんどの場合ピアノやキーボードの伴奏が入りますし、アレンジを売りとしたバンド型のグループにも、伴奏楽器は欠かせないようです。
メロディー楽器奏者と伴奏楽器奏者のデュオ、という形も多いのではないでしょうか。

いずれにしても、メロディー楽器奏者が本来の役割を果たせず、至らない点を補うために伴奏者がいるアイルランド音楽ほど悲しいものはありません。
例えば、伴奏者がいなくともメロディー楽器奏者の持つ力強いリズムだけで、問題なくダンサーを躍らせることができるのがケーリーバンドですが、これは同時にアイルランド音楽の本来の姿ではないでしょうか。

「アイルランド音楽は、メロディー楽器が主体で演奏されるものである」という基本的な形は、今後も変わることはなさそうです。


望月えりか

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