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ブラックバードミュージック

Author:ブラックバードミュージック
ブラックバードミュージックは、等身大のアイルランド音楽の魅力を本国直送で日本へ紹介することを目的としたプロジェクトです。
名古屋のフィドル奏者小松 大と、在アイルランドの望月えりかが共同で運営しています。

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耳で覚える、耳を鍛える

2013.12.02 01:32|アイルランド音楽を学ぶ
「あなたは楽譜から曲を覚えてる?それとも耳で覚えてる?」という質問は、アイルランドに住んでいてもたびたび聞かれます。

「耳で覚えています」と回答すると、「やっぱりそうよね、そうでなくちゃね」という具合に、耳で覚えるのが良し、という傾向にあることも確かなようです。
「楽譜から覚える<耳で覚える」という図式でしょうか。

曲を耳で覚える。
日本では「耳コピ」などという言葉があるようですが、まさにそういうことです。英語では「Learn by ear」と呼ばれます。

アイルランド音楽はもともと人から人へ口承で伝えられてきた伝承音楽であり、誰かの歌や演奏を聴いてそのメロディーを覚えるのが基本です。アイルランド音楽は、その過程で少しずつ形を変えながらも、人々の記憶を頼りに受け継がれてきた音楽です。

アイルランドの曲はその数があまりに膨大で、数千曲とも1万曲以上とも言われます。
多くの人々にとっては「一曲一曲を紙から拾っていくよりは、普段聴き慣れている曲を耳で覚えてしまった方が早い」という、極めて現実的な側面もあるようです。

私自身も完全にこの体質で、耳から覚える方がずっと早くスムーズに感じます。
また、同じパブセッションにレギュラーで通っているうちに、ホストを務めるミュージシャンのレパートリーがだんだん分かるようになってくるのも、耳で曲を覚えることの大きなメリットではないでしょうか。

楽譜から曲を覚えるのはよくない、ということではありません。
今や多くのレッスンやワークショップで楽譜を使うのは当たり前となっていますし、曲名は分かるがメロディーが思い出せない、といった場合に楽譜があると非常に重宝します。

その曲を自分なりに解釈して自分のものとすることができれば、どんなソースを使って曲を覚えようと個人の自由です。

では、曲を楽譜から覚えるにあたっての注意点はなんでしょうか。

何よりも気をつけたいのが、アイルランド音楽の曲で楽譜通りのものは何一つない、という事実です。
例えば2冊の異なる楽譜集に載っている同じ曲でも、ディテール部分は多少なりとも違っているはずです。また、演奏家によって更なるアレンジが加えられる結果、アイルランド音楽の曲はどれも楽譜通りにきちんと演奏されることがありません。
これもまたアイルランド音楽の本質の一つであり、伝承音楽ならではの現象のように思います。

私の音楽の師は、いつも「楽譜から曲を覚える時は、輪郭だけをぼんやり覚えるように」と厳しく言っていました。この教訓は今でも私のアイルランド音楽に対する基礎の一つとなっています。
言い換えれば、「骨組みの部分はしっかり覚えながらも、そのほかの部分はのちのちアレンジが可能なように、フレキシブルにしておくこと」ということでしょうか。

もう一つ気をつけたいのは、あまり楽譜に頼り過ぎると今度は耳を鍛えられないということです。楽譜なしでは曲が出てこなかったり、楽譜通りの演奏しかできなくなってしまったりと、人によってさまざまのようです。

「耳で覚えるのが苦手である」、「楽譜の方が楽だ」という人は、アイルランドにももちろんいます。
しかし、この苦手意識は楽譜という逃げ道があるが故のようにも思えます。
よく考えてみれば、私たちは多くのことを耳から覚えています。言葉や言語は幼少の頃から耳で学んでいるわけですし、テレビのコマーシャルソングをいつの間にか口ずさんでいたり、流行歌をカラオケで歌えるようになるのも、私たちが耳で覚えている証拠ではないでしょうか。

得意不得意はあるにせよ、アイルランドの曲も耳の訓練さえすれば、誰しも楽譜なしで覚えられるのではと思いますが、いかがなものでしょうか。

そもそもアイルランド音楽は、楽譜を見て演奏される音楽ではありません。パブや個人宅でのセッションでも、はたまたステージでのコンサートにおいても、楽譜を使うアイルランドの音楽家など皆無ではないでしょうか。曲は頭に入っているものであり、体に沁みついているものでなければなりません。

「アイルランド音楽は耳で覚えるもの」と言われるゆえんも、ここにあるのではないでしょうか。
今やあらゆるツールで曲を覚えられる時代。しかしこの伝統は、今後も続きそうです。


望月えりか

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