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ブラックバードミュージック

Author:ブラックバードミュージック
ブラックバードミュージックは、等身大のアイルランド音楽の魅力を本国直送で日本へ紹介することを目的としたプロジェクトです。
名古屋のフィドル奏者小松 大と、在アイルランドの望月えりかが共同で運営しています。

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クロスロードダンシング

今年のセントパトリックスデイは日曜日でした。アイルランドではこの日は祝日なので、翌日の月曜日が振り替え休日となり、3連休でした。この月曜日に、私の地元でちょっと面白いイベントがあり参加してきました。
タラに完成した新しいミュージックセンターの寄付金を集めるウォーキングです。

題して「イーストクレアミュージカルウェイ(East Clare Musical Way)」。

アイルクロス(Ayle Cross)という五差路を出発し、我が家のあるGlendreeの坂を上り詰めてからゆるやかに丘を下るようにして再びアイルクロス戻るというコース。
私は友人と一緒に参加して(参加費が寄付金となりました)8キロの距離を1時間半かけて歩きました。

ミュージカルウェイという呼び名の通り、ウォーキングのコースにはしばしばサインが立っており、「ここは○○の生家だった場所です」とか「この家ではよく人々が集まって音楽やダンスを楽しみました」というように、この地域の音楽の歴史がウォーキングをしながら体験できます。何とも素晴らしい企画ではありませんか・・!


クロスロードダンシング1
[我が家に続く小道に立てられたサイン]


クロスロードダンシング2
[こちらは数百メートル先のフィドル奏者、故Bill Malleyのサイン]


ゴ-ル地点となったアイルクロスは、フィークルに住んでいる者なら誰でも知っている5本の道が交差するクロスです。我が家からは車で5分ほどの距離で、子どもたちのスクールバスの送り迎えをする場所でもあります。
歩き終えると、あつあつの紅茶とスコーンがふるまわれ、地元のミュージシャンたちによる音楽が始まりました。


クロスロードダンシング3
[ヴィンセント・グリフィン、パット・オコナー、ケイト・マクナマラとその弟妹たち]


音楽が始まれば自然とダンサーたちが集まり、セットが組まれて人々が躍り出します。
クロスロードダンシング(Crossroads Dancing)のスタートです。


クロスロードダンシング4


実はこの日の前日、聖パトリックの日にフィークルのパレードを見ていたら90歳の私の友だち、ドン・パーセルさんに会い、このクロスロードダンシングにまつわる面白い話を聞かせてもらったばかりでした。

その昔、アイルランドでは道の十字路、交差点で行われる「クロスロードダンシング」が盛んだったそうです。屋外でミュージシャンが演奏をしダンサーが踊るその光景は有名で、今ではごく稀ですがアイルランドにおける風習の一つでもあります。

しかし、これをよく思わなかったのは地元のカトリック教会でした。
多くの男女が公の場で交わる、とりわけクロスロードダンシングは人の数も多く、屋外なので隅々まで管理が行き届きません。教会はこれに不安を覚えたのでしょう。ダンスや音楽を禁じたわけではもちろんありませんが、教会がこのようなダンスの場(前回の記事で話の出たケーリーですね)をコミュニティーホールなど屋内の施設で行うよう促したのも事実なのだそうです。
ドンの話によると、フィークルにもクロスロードダンシングを快く思わない司祭がおり、アイルクロスでクロスロードダンシングが行われるたびに、「あのクロスには悪魔がいる。何かよからぬことが起こるに違いない」と言って人々に自粛を求めたのだそうです。
話が脱線するので詳しいことは割愛しますが、アイルランドでは昔から十字路には悪魔が住むという言い伝えがあるのです。司祭はこれに上手くかけて話していたに違いありません。

では果たしていつ頃このクロスロードダンシングはアイルクロスで行われていたのでしょうか。
アイルクロスの近くに住む農夫のショーンに聞くと、30~40年代に行われていたのではないかとのこと。「だってわたしゃ憶えてないもんね」ということですから、ずいぶん昔のことのようです。


何はともあれ、この日のクロスロードダンシングは天気にも恵まれ大成功でした。
ウォーキングには100人以上の人々が参加したようです。参加者は地元の人ばかり。近くに住む歌手でクレアFMのブロードキャスターでもあるポーラ・キャロルと話していたら、今度は彼女がこんなことを言います。

「アイルハウス(Ayle House)ってあったでしょう。今は廃墟になってしまっているけど。フランシス・オニール(Francis O'Neill)の奥さんがフィークルの出身で、彼もフィークルに曲を探しながら滞在した記録が残っているわけだけど、その当時アイルハウスに泊まっていたらしいのよね」

何と!
アイルハウスとは、このアイルクロスのすぐそばにあった大きなお屋敷です。
アイルランド音楽を愛好する者であれば必ず一家に一冊あると言っていいオニールズの選曲集。その数1001の曲が納められた、いわばアイルランド音楽のバイブルとも言える楽譜集です。

そのフランシス・オニールも、このアイルの地にゆかりのある人物であったとは。

一見なんということはない五差路で、こんなに面白い話を一気に聞くことができた不思議な一日でした。
次回の「今月の人物」の記事は、これでほぼフランシス・オニールに決定ではないでしょうか。ご期待ください。


クロスロードダンシング5


望月えりか

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聖パトリックの日とアイルランド音楽

今年もそろそろ聖パトリックの日が近づいてきました。
日本では東京をはじめ多くの都市でこれに合わせてパレードが行われ、テレビなどでも報道されるようになりました。私も日本に住んでいた頃は表参道で開催されるパレードに毎年参加していました。

聖パトリックの日(St.Patrick's Day)は3月17日、アイルランドでは祝日です。
聖パトリックはアイルランドにキリスト教を広めたことで知られる最も偉大な聖人です。三位一体を説くのにシャムロックの3枚の葉を使ったとされる話はあまりにも有名で、ここからシャムロックがアイルランドのシンボルとなりました。
この聖人の名「パトリック(Patrick)」は、アイルランドではいつの時代にも根強い人気を持つ男性の名前です。また、Paddy(パトリックの愛称の一つ)という名前がアイルランド人の総称として使われることもあります。

聖パトリックの日には、教会のミサに行く以外にアイルランドではどんなことをするのでしょう。
特にこれといった風習はなく、地元のパレードを見に行く程度のようです。

ここフィークルの村のメインストリートでも小さなパレードがあります。この日は各市町村でパレードなるものが催されます。ダブリンのパレードは観光事業の要ともなっていて、当日はテレビで毎年生中継されるほど大規模です。
小さな町や村のパレードは、基本的には地元のブラスバンド、アイルランド伝統音楽の盛んな地域であればこれを演奏するミュージシャンとダンサー、地元の消防団やヴィンテージの車、トラクターなどが通りを練り歩き、それを人々が見物する、というスタイルです。



[フィークルの隣、タラの町のパレードの様子]

アイルランドのパレードの多くはアイルランド音楽色は薄く、アイルランド音楽愛好家にとっては少々拍子抜け、物足りないと感じるかもしれません。
もともと聖パトリックの日とアイルランド音楽には直接のつながりはありません。

聖パトリックのイベントに合わせてアイルランド音楽を聴きたい場合は、ロンドンやニューヨークなどの海外に行ったほうがひょっとすると楽しめるのかもしれません。
アイルランド移民を多く抱えるこれらの国々のパレードは、単に聖パトリックの命日を祝うだけでなく、これを機にアイルランドの歴史文化を広めるための場へと移行してきた背景があるからです。

日本でよく言われる「聖パトリックのパレードの時には何か緑色のものを身につける」というのも、実はアメリカから入ってきたアイディアなのだそうです。
衣料品店などではこの季節になるとTシャツや帽子などが売られていますが、子どもや一部の若者を除いてほとんどの人は普段着です。あえて身につけるものといったら、政治家やテレビのニュースキャスターなどが本物のシャムロック(植物)の束を胸元に飾るぐらいでしょうか。


cowenandbama.jpg
[ホワイトハウスを訪れ、オバマ大統領にシャムロックを手渡すアイルランドのカウエン前首相(2009年)]


望月えりか

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