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ブラックバードミュージック

Author:ブラックバードミュージック
ブラックバードミュージックは、等身大のアイルランド音楽の魅力を本国直送で日本へ紹介することを目的としたプロジェクトです。
名古屋のフィドル奏者小松 大と、在アイルランドの望月えりかが共同で運営しています。

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ここは外国?ドニゴールが呼んでいる

2017.03.03 20:13|アイルランド音楽の地域性
近所に住む女性から、ある日テキストメッセージが届きました。
「今うちに宿泊しているゲストがいるんだけど、伝統音楽のミュージシャンだというのよ。パットとエリカに会いたいということなのだけど、そちらに送っても大丈夫?」

「明日だったら二人とも家にいるし、いつでもどうぞ」と返信すると、「分かった、ありがとう。彼に伝えておくわね。ドニゴールのフィドル奏者なんですってよ」とのこと。

翌日の午後に我が家を訪ねてきた彼は気さくでフレンドリーな紳士。紅茶を一緒に飲みながらおしゃべりを楽しみました。
ドニゴールのフィドル奏者と言ったって、ドニゴールスタイルでフィドルを弾くイングランド人だったなんていうこともあり得るわけですが、今回は正真正銘のドニゴール出身の方でした・・!
私はドニゴール訛り(アクセント)がとても好きなので、会話を聞いているだけで幸せな気分です。

アイルランド国内の伝統音楽シーンにいる人と会うと、たいていは共通の友人知人の名が続々と出てくるものですが、彼とは一人か二人程度。というのも、ドニゴールは距離的にここクレアからはずいぶん離れた地域なので、当然と言えば当然なのかもしれません。

クレアからドニゴールまでは300キロほどでしょうか。車で行くと、片道4時間はかかる距離です。
そういえば、この辺りではドニゴールで登録された車が走っているのを見かけることもほとんどありません。人の行き来がほとんどないということ、それに応じて音楽的な交流も盛んでないということなのかもしれません。

ドニゴールの車
(ドニゴールで登録された車のナンバープレート。州の名の最初と最後のアルファベットであることが多い。この辺りでは見かけません)

地形から言ってもドニゴールはやや孤立した位置にありますね。

ドニゴールの位置
(緑の部分がドニゴール州、ピンクは北アイルランド)

もう一つ驚いたのは、例えば時の人と言われるほど注目されているダブリン出身の若手ミュージシャンやボストンを拠点に活動するユニットなどを「知らない。聞いたことがない」とおっしゃっていたことでしょうか。
彼らの名はアイルランド全国で知られているのかと思いきや必ずしもそうではないようで、新たな発見でした。

「ドニゴールも広いから何とも言えないですけど、僕の暮らす地域は特に活発な音楽シーンはないかな。静かなものですよ」

若手や新人の名は知らずとも、巨匠級の音楽家たちのことは延々と話しておられました。
ここクレア州から輩出された音楽家たちの面白いエピソードやジョークをはじめ、ゴールウェイ、コークやケリー、そして彼のご当地ドニゴールの素晴らしいフィドル奏者たちの話で盛り上がる午後のティータイム。

ヴィンセント・キャンベル
(ドニゴールのフィドル奏者、ヴィンセント・キャンベル)

この夜はたまたまティペラリーとの州境のパブでギグのあったパット。「今夜は何もプランがない」という彼を誘って、一緒に演奏を楽しんできたそうです。

ドニゴールの音楽はこれまた独特なものだなあと思います。レパートリーに限らず、奏法やアクセントの来る場所などが全然違って、あたかも外国の音楽を聴いているかのようです。

翌朝「昨夜のセッションはどうだったの?マーティンのフィドルはどんな感じだった?」と訊くと「すごくよかったよ。彼もすごくいいフィドル奏者だったよ。ドニゴールの、あの弓使いだったし。初めて会った人だし、出身の地域も違うから一緒に弾ける曲を探りながらの夜だったけど、彼にとってもこの辺りの音楽は新鮮だって言ってたから、楽しんでいたのでは」とのこと。

「昨夜は弾かなかったけど、僕たちが聴いたこともないようなドニゴールのレパートリーを、きっとたくさん持っているんだろうね」

我が家でお茶をした際には失礼になってはいけないと思い、お願いなど無論できませんでしたが、ぜひ彼のフィドルを生で聴いてみたかったです。電話番号を交換していたようなので、もし次回ということがあれば・・楽しみです。遠い地ですが、機会があれば音楽を聴きにぜひ行ってみたい、Donegalです。

望月えりか


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所変われば音楽変わる

2016.07.26 02:29|アイルランド音楽の地域性
少し足をのばして、クレアのお隣ティペラリー州のセッションに行ってきました。
とは言え大した距離ではありません。ここ東クレアからティペラリーとの境界線までは車で40分ほどでしょうか。

友人らと連れ立って行ったセッションでは、知人のフルート奏者で来月のキャンプのフルートのワークショップも担当してくれるポール・スミス(Paul Smyth)さんがホストをしています。東クレアにいるとフルート奏者を見かけることはまれですが、このセッションに行くとフルートが2人、もしくは3人いたりします。フルートの音色が好きな私にとっては贅沢なセッションなのです。

大きな橋を渡って川の向こう岸がカウンティーティペラリー。
この夜はティペラリーの大きな町ニーナからフィドルを弾く女性も参加していて、良質のセッションを夜中の1時半まで楽しませていただきました。

曲のレパートリーが私が普段親しんでいるものとあまりに違い、新鮮でした。
際立ったのは、パディー・オブライエン(Paddy O'Brien)の曲の豊富さです。故パディー・オブライエンはティペラリーが生んだ素晴らしいアコーディオン奏者であり、非常に優れたコンポーザー(作曲家)です。今や全国的に知られるパディー・オブライエンのチューンの数々は古い伝統曲とも良く融け合い、新しく作られた曲であることにも気づかれないほどごく自然にパブセッションなどの場で演奏されています。

パディー・オブライエン
Paddy O'Brien (1922-1991)

パディー・オブライエンの故郷から決して遠くないこのパブで、彼の曲が次から次へと飛び出しては、ほかのミュージシャンたちも涼しい顔で心得た風に演奏していきます。まるで異国に迷い込んだかのようでした。
一つ橋を渡っただけで、州が変わっただけで、こんなに音楽が変わるものなんですね。

このほかにも、聴いたこともない曲やなじみはあっても私の地域ではほとんど演奏されない曲があり、フィドルの手を休めてじっくり楽しむことができました。バーカウンターに座る女性の素晴らしい歌と、平日の夜にもかかわらず多いお客さん、そして彼らの音楽に対する関心とリスペクトが音楽家たちをしっかり支えているのも印象的でした。

車で片道30分を超えると「遠いな」と感じるアイルランドのセッションですが、また折を見て遊びに行ってみたいと思います。


望月えりか

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クレアスタイルとは何ぞや?くくることのできない地域スタイル

2015.03.27 09:40|アイルランド音楽の地域性
去年のいつだったか、パットがバリーヴォーハン(Ballyvaughan)で行われたチャリティーコンサートに呼ばれて演奏したことがありました。

バリーヴォーハンは、クレア州の北部にある大西洋に面した小さな町です。
チャリティーコンサートのメインゲストは、何といってもバリーヴォーハンにほど近い場所に住むコンサーティーナ奏者、クリス・ドローニー(Chris Droney)で、ソロ演奏のほかにコンサートの最後には彼を囲んで出演者全員が共演、という場面もあったそうです。

私たちはゴールウェイやティペラリーとの境に近いクレア東部に住んでいますが、ここの出身でアコーディオン奏者の友人と食事をしている際、パットがこんなことを言います。

「クリス・ドローニーの音楽に合わせるのが難しくて、だいぶ時間がかかったよ」

すると東クレア出身の友人も

「分かるよ全然違うよね、北クレアの音楽は。スピードも速いしね」

「スピードだけじゃないよ、僕らの演奏する音楽とはアクセントのある部分も違うし、流れ方も違う」

東クレアからバリーヴォーハンまでは、車で1時間ほどでしょうか。決して遠く離れた場所ではありませんが、地域に根づく音楽がここまで違うというのは面白いものです。

クリス・ドローニー
[アイルランドを代表するコンサーティーナ奏者の一人、クリス・ドローニー(Chris Droney)]

過去の記事でアイルランド音楽の地域性について書きましたがこちらです)、実際には同じクレア州の中でも場所によって良しとされる演奏スタイルが違うということになります。

個人的にはこの「○○スタイル」というカテゴリー化された言葉に抵抗を感じますが、このような現象を目の当たりにするとますます首をかしげてしまいます。
傾向としての地域性として「クレアスタイル」と呼ばれるものは確かにあるかもしれませんが、それは必ずしもある特定の演奏を指すものではなく、蓋を開ければさまざまに枝分かれしています。その枝を更にかき分けていくと、最終的には個人の演奏家たちの極めて個人的な演奏スタイルにたどり着いたりします。

さて、更に興味深かったのは、パットとアコーディオン奏者の友人とのその後の会話です。

「北クレアの音楽は、何というか荒々しさがあるよね。僕らの音楽(東クレアの音楽)はもっとおっとりしてるよ。あの荒々しさって、やっぱり海が近いからかね」

「だね、あの辺りは自然もワイルドだしね」

以前に「アイルランド音楽を培った風土と自然の話」という記事を書きましたが、地域に根づく伝統音楽とは、人々をとりまく風土や自然からも多大な影響を受けながら生きている、ということなのでしょう。

バリーヴォーハン
[バレンを望むバリーヴォーハン]


望月えりか

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アイルランド音楽の地域性って何だろう

2014.12.05 09:23|アイルランド音楽の地域性
アイルランド音楽の世界に入ると、比較的初期の段階で、ドニゴールスタイル、クレアスタイル、スライゴミュージック、ケリーミュージック、といった言葉を耳にするようになります。

それによると、どうやらドニゴール(アイルランド北部の州の名)という地域にはその土地の演奏スタイルがあるらしい。アイルランド音楽とは実は一言でくくれるものではなく、コーク州、ロスコモン州、ケリー州など地域によって音楽の特質が違うらしい、ということのようです。
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具体的にどういうことなのでしょうか。

ひとつは演奏スタイルです。演奏のスピードや装飾音のつけ方、リズム、アクセントやイントネーションといった音楽の表現方法が異なります。
好まれる曲もずいぶん違います。実際には北アイルランドのアントリムなどで定番の曲を、ゴールウェイのミュージシャンに聴かせても「知らない」と言われたり、ケリーのポルカをメイヨーでやっても誰も一緒に演奏してくれなかったり、ということが起きます。

デニス・マーフィー
[ケリー出身のフィドル奏者、デニス・マーフィー(Denis Murphy)]

使われる楽器の構成も、地域によって違ってきます。あそこはもっぱらフルートの州という地域もあれば、ここはフィドル一色、コンサーティーナはクレア州、というようにその地域で好まれる伝統楽器があるようです。

そんなわけですから、例えば何の情報もなく誰かのアルバムを試聴した場合など「この人はロスコモンの人じゃないかな」とか、ラジオでフィドル奏者の演奏が流れて「この人は絶対にドニゴールの人だね」ということが分かってしまったりします。

同じアイルランド音楽なのだから、みんなが集まれば楽しくセッションできるというのは間違いで、極端な例では共有できる曲のレパートリーが少なかったり、演奏するスピードが速すぎたり遅すぎたりというような問題が出てきて、かえってフラストレーションがたまるようです。

では、地域の異なるミュージシャン同士が共演を楽しむことは、まったく不可能でしょうか。

アイルランドには32のカウンティー(County 州とか県などと訳される)がありますが、州ごとに異なる地域スタイルがあるかのようにうたわれることもあります。しかし実際にはそんなものは存在せず、アイルランド音楽の地域性とは、あくまで「傾向としてそうである」という程度に理解をとどめておいた方がよさそうです。

アイルランドでは地域を越えたミュージシャン同士の交流は当たり前ですし、一部のごく保守的な人々をのぞいて、ほかの地域の音楽家たちと交わることに抵抗を感じるような人はいません。
近年では人々の往来も頻繁で、大学や就職のために出身地とは異なる地域に住むうちに現地の音楽に影響を受けたり、地域を越えた音楽は今やどこにいても入手可能な時代です。
私はたまたまクレア州東部に暮らしていますが、私の周囲でもゴールウェイやティペラリー、リムリックといった隣接する州のミュージシャンたちが日常的に行き交っていますし、クレアのミュージシャンたちがコーク、ケリー、ゴールウェイ、メイヨーなどの音楽フェスティバルの常連だったりもします。

また、最近では例えばダブリン人がルーツを求めてドニゴールやケリーなどの音楽スタイルに傾倒し、結果自分の演奏に取り入れるというような例もあります。

地域性がより堅固に守られていたであろう一昔前の時代においても、ラジオやレコーディングといった媒体を通して、クレアのフィドル奏者がスライゴの音楽に傾倒したり、ドニゴール特有の曲がアイルランド南部に渡って演奏されたり、といったことが起こっていたようです。

イデル・フォックス&ニール・バーン
[クレア出身のコンサーティーナ奏者イデル・フォックス(Edel Fox)とウォーターフォード出身のフィドル奏者ニール・バーン(Niell Byrne)]

一方では、「私はロスコモンスタイルのフルート奏者です」とか「これはゴールウェイ音楽のアルバムです」というように、ミュージシャン自らが音楽をカテゴリー化することにより、コマーシャル活動に利用する傾向があります。
テレビやラジオなどのメディアもこうしたカテゴリーがあると便利なので、つい乱用してしまうようです。

アイルランド音楽がもともと自分たちの文化でない外国人にとっても、これは一見とても簡単にアイルランド音楽が説明されているように見え、言葉をそのままに受け取りがちです。
アイルランド人でさえ、アイルランド音楽を地域別にカテゴリー化して理解する人が増えているように感じます。

何事もそうですが、きれいにカテゴリー化されたものには注意が必要です。
アイルランド音楽における地域性の輪郭は非常にあいまいであり、確固たるボーダーラインがあるようなものではないからです。

アイルランド音楽における地域性を理解するのに最も分かりやすい方法は、私たちの言葉のアクセントと同じようなものであると捉えることかもしれません。地方には、その地方独特の方言があります。アイルランド音楽もこれと同じで、その地域ならではのスタイルが存在します。
言葉のアクセントは、世代によって、またその人のバックグラウンドによって、強かったり気がつかなかいほどであったりします。
異なる地域の者同士、まったく会話が成り立たないかといえばそんなことはむろんありません。アクセントが強すぎれば相容れない部分は増えますが、それでも人は分かり合い、共通項を発見していくものではないでしょうか。
違いを越えて理解し合える部分が大きければ、かけがえのない音楽仲間にもなり得ます。

カテゴリー化に惑わされず、広い視野を持ってアイルランド音楽全体を見つめていくと、アイルランド音楽における地域性が自然な形で見えてくるのかなと思います。


望月えりか

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