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ブラックバードミュージックは、等身大のアイルランド音楽の魅力を本国直送で日本へ紹介することを目的としたプロジェクトです。
名古屋のフィドル奏者小松 大と、在アイルランドの望月えりかが共同で運営しています。

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ティンホイッスルは楽器じゃない?

2015.07.12 07:51|ティンホイッスル
クレア州の州都、エニス(Ennis)にあるカスティーズミュージックショップ(Custy's Music Shop)には、実にさまざまな人々がやってきます。
ある日、店にやって来た女性が「楽器を見せてもらってもいいかしら?」と言うので、店内にあるフィドルやフルート、コンサーティーナ、バンジョー、アコーディオンなどのもろもろを簡単に説明してまわったのだそうです。

するとこの女性、「私ね、1年ほど前からティンホイッスルを吹いてるんだけど、そろそろ”楽器”をはじめようと思って。何がいいかしらねえ」との発言。

アイルランドに暮らしていると、よくこのようなアイルランド人に遭遇します。
彼らにとってティンホイッスルは「ちゃんとした楽器」ではないのです。

ティンホイッスル(Tin Whistle)は、多くのアイルランド人が一番最初に手にする楽器です。
まずはティンホイッスルからスタートし、やがて曲のレパートリーができていき、音楽の構成も理解できるようになると、フルートやフィドルといった楽器に移行していくのが一般的です。
そういう意味では、前述の女性はこの王道を行っていると言えます。

また、子どもの頃に音楽をはじめる場合が多いので、「ティンホイッスルは子どもが吹くもの」というイメージもあります。

ティンホイッスルは楽器じゃない?
[必須科目ではありませんが、アイルランドではティンホイッスルを使った伝統音楽のクラスがある小学校もあります]

ティンホイッスルは、ほかの楽器に比べ桁違いに安価であることも、この楽器の評価を低くしているようです。

初心者が手にする楽器。
子どもが吹いている楽器。
安い楽器。

このような理由から、無意識のうちにティンホイッスルをまっとうな楽器として認識していないアイルランド人が多いように思います。

一方では、アイルランド音楽の世界にはホイッスルの名人がたくさんいます。
この世界に住む者ならば、ティンホイッスルがこの上なく美しい音色を奏でることのできる立派な楽器であり、それは説明をするまでもなく誰もが知るところです。
しかし、伝統音楽に詳しくないごく一般的なアイルランド人たちにとっては、残念ながらこのイメージがいつまでもつきまといます。

ホイッスルケース (12)
[カスティーズの店内でも販売中の毛糸でできたホイッスルケース

そんな、ちょっとかわいそうな楽器ティンホイッスル。このイメージを払拭できる日はやって来るのでしょうか。


望月えりか

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ティンホイッスルの持ち方

2013.10.26 01:09|ティンホイッスル
アイルランド音楽の楽器で、ティンホイッスル(tin whistle)というものがあります。
最も安価で手に入れやすく、アイルランド音楽ではおなじみの楽器です。

「一番簡単」という宣伝文句も聞かれますが、簡単な楽器であるかは私には分かりません。「簡単」、「難しい」という区分けは、楽器においてはないのではないかな、と思います。

ティンホイッスルはペニーホイッスル(penny whistle)と呼ばれることもあると言いますが、私はこの呼び名をアイルランドで聞いたことが一度もありません。また、ティンホイッスルという呼び名よりは単に「ホイッスル」と呼ばれることの方が多いです。(そんなわけで以下、ホイッスルと表記します)

すぐに音が出せるのと価格的な理由から、アイルランドでは主に子どもたちが最初に与えられる楽器という印象が強いです。
私自身も、このホイッスルからアイルランド音楽を始めました。

ティンホイッスル (2)
[いつの間にか増えていく我が家のホイッスルたち]

主流のキーであるD管のホイッスルのほかにもB♭やGといったキーのものもありますが、楽器の詳しい説明はまた別の機会に譲りたいと思います。

さて、今年の9月(新学期)から私たちの子どももホイッスルを習い始めました。

彼らが通っているのは、エニスのカスティーズミュージックショップの2階。ここで、ショップの開業者であるフランシス・カスティー(Frances Custy)が子ども向けのミュージックレッスンを行っているのです。

娘はフィドル、息子はホイッスルですが、娘もピンク色のホイッスルを買い与えられてその手軽さから家でもよく吹いています。
最初は私もホイッスルを出してきて一緒に曲を吹いたり、指使いを教えたりしていたのですが、しばらくするとあるとても興味深いことに気がつきました。

ティンホイッスル (6)

皆さんはこの写真を見て、気づかれますでしょうか。

そう、右手と左手が二人とも逆なのです。

慌てて子どもたちの持ち方を正そうとしても、「こっちの方が吹きやすい」と言って聞きません。
息子がサッカーボールを蹴る際に左足を使う以外では二人とも右利きなので、どういうわけで反対にホイッスルを持ってしまったのか、さっぱり分かりません。

ホイッスル/ピアノ奏者のジェラルディン・コッターのホイッスルの教則本が家にあったので、見てみました。

ティンホイッスル (4)

彼女の本によると「左手が上、右手は下」とあり、それ以上の説明は見つかりませんでした。

さっそく次のカスティーズでのレッスンのあと、フランシスにこの疑問をぶつけてみました。
すると。

「この問題はね、私も最初は疑問に思っていろいろなホイッスル奏者やフルート奏者に尋ねてみたの。でも、その結果みんながみんな『右手でも左手でも、持ちやすいほうで良い』という回答だったのよ」

娘などはジグの曲なども吹けるようになっていたので、今さら強制のしようもありませんし、強制する必要もないということで、今でも二人とも右手が上、左手が下というポジションでホイッスルを吹いています。

一方で、長年ホイッスルを吹いていた自分がこの可能性に全く気づいていなかったという事実にも、我ながら驚きました。
しかしよく考えてみると、日本人の多くは学校教育の中でリコーダーを吹いた経験があります。リコーダーで左利きの人は左右の手が逆になるものなのか、私には分かりませんが、少なくとも小学校で習ったリコーダーでは右利き、左利きにかかわらず左手が上、右手が下のポジションで吹いていたように思います。
日本にいた頃にこの問題に気がつかなかったのは、そんな背景があるからかもしれません。

しかし、アイルランドでは無論リコーダー教育もなく、ホイッスルを吹く子どもたちは場合によっては小学生以下だったりもして、思い思いの持ち方でホイッスルを吹きはじめます。
ホイッスルの講師によっては「左手が上、右手が下」のポジションを推奨しているのかもしれませんが、必ずしもホイッスルのレッスンに通っている人ばかりではありません。

また、アイルランドを代表するホイッスル奏者であるメアリー・バーギン(Mary Bergin)は、このいわゆる左利きの持ち方でホイッスルを演奏することで知られています。

メアリー・バーギン
[右手が上、左手が下のポジションのメアリー・バーギン]

また、前述のジェラルディン・コッターの教則本に使われている写真や挿絵をよく見ると、左利きのホイッスル奏者が少なくないということにも、初めて気がつきました。

ホイッスルは持ちやすい方法で持つ。

これもまた、「アイルランド音楽の懐の深さなのだろうか」と考えたりします。

また、しばらくしてから新たな事実に思い至りました。
子どもたちが、もしも将来フルートを吹くことになったら。自然な流れだと、同じ指使いのまま笛を横に構えるので、左利きのフルート奏者になるのではないでしょうか。

考えてみると、アイルランドには左利きのフルート奏者が非常に多いです。どうしてこんなに多いのだろうと思っていましたが、ひょっとするとこのように最初に手にしたホイッスルの手の構え方が関係しているのでしょうか。
真相は、私には分かりません。


望月えりか

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